これは大学病院時代のこと。
手術目的に2泊3日予定で入院してきた方のおはなし。
全部調べてほしい
症例

術後の具合もよく、予定通り退院ですね。

ありがとうございました。

退院にあたりなにか心配なことはありますか。

せっかく入院したんだからついでに悪いところないか
全部調べてほしいです。
外来で予約を入れて受付をしてまつのも大変な気持ちも分かります。
先にお答えしておきますと無理ではないですが
やりません。
ときどき言われることあります。
全部だというわけではなくても
入院する3か月前から足が痛かったから調べて欲しいとか言われることあります。
この状態が入院目的の疾患によるものや退院に差し支えるものであったときは検査、治療
または他の科に依頼してみてもらうことを行います。
しかし明らかに関係なさそうなことやとにかく検査だなどはできません。
理由としては以下になります。
- 病院としては収益にならない
- 検査の予約が取れない
- 健康診断は保険適応はない
病院としては収益にならない
これは以前書いたDPC制度によります。
こちらでも記載しておりますように検査をしても料金は一定です。
つまり検査をすればするだけ病院は赤字になります。
検査入院という言葉はあります。
それは心臓のカテーテル検査のように入院しないとできない検査のみです。
外来でもできる検査で入院することは基本的にはありません。
やることがあるのは遠方で足が不自由で通院が困難な時などです。
これは完全に医師の優しさによるものなのです。
検査の予約がとれない
外来での検査を進めるとき1か月後とか言われますよね。
入院中であろうとそれは一緒です。
本来は予約は大分先なのです。
入院中で当日や早めに取りたい場合には検査室に連絡をして
お願い、交渉をすることになります。
体調の急激な変化であれば検査室の技師さんなども
「時間的に厳しいですけどなんとかやりましょう」
となりますが、急ぎでない検査だと早期の検査は正直難しいです。
そして伸びていく入院期間。次の人が入院できなくなりますね。
健康診断は保険適応はない
今痛みがある、などであれば保険適応になりますが
何も症状がないなかで全身を調べてくれ、は保険適応はありません。
これは健康診断となりますので全て自費になります。

解決策
- 検査の優先度を確認する
- 人間ドックを受ける
- 退院後外来で相談する
- かかりつけ医を活用する
検査の優先度を確認する
そもそも何のために入院をしたか今一度確認をしましょう。
その検査、今すぐ必要でしょうか?
人間ドックを受ける
全身に問題がないかどうかを調べるようでしたら人間ドック、健康診断を活用してください。
保険、つまり7割が税金で賄ってしまうと保険医療費にまた負担が増えてしまいます。
人間ドックを全て自費になりますのでそちらでお願いします。
退院後外来で相談する
症状が急ぎでなければ外来での相談をお願いします。
他の科に依頼することもありますが対応いたします。
ただし時間はかかります。
かかりつけ医を活用する
大きな問題でなければかかりつけ医と相談するのもいいかと思います。
そこから必要があるようでしたら専門科に紹介状を記載してもらいましょう。

まとめ
入院中に「ついでに全部調べてほしい」というお気持ちは、よく分かります。
ですが医療には仕組みや順序があり、すべてを一度に叶えることは難しいのが現実です。
大切なのは「今必要なこと」を確実に行い、退院後も安心してフォローが受けられる体制を整えることです。
気になる症状があれば、無理せず主治医やかかりつけ医に相談していきましょう。
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