これは大学病院時代。
がんのフォローを行っていて再発した時のご本人、家族含めての説明外来になります。
つまりは医療ミスってことなんだろ
症例

残念ながら、手術をしてから3年が経ちましたが再発しています

・・・

治療方法としては抗がん剤を行うか、このまま何もしないかです
ご本人、ご家族でよく話し合ってください

・・・

抗がん剤を使う場合は〇〇〇を使って△△といった副作用がでることがあります

3年前の手術は無駄だったってことなんか

その時には最善の治療でありました

再発したってことはつまり医療ミスってことなんだろ
私は引き継ぎで手術をした人はもう辞めてしまっていたので詳細は正直わかりませんが
手術でのミスはなく、その後の治療やフォローもきちんとしております。
ご家族は普段来院はなく、こちらから呼び出さないと来院はない状況でした。
ご本人は引き継ぎ後でも外来でよく話していますのでこういった発言はありませんでした。
残念ながら癌というのはきちんと治療を行っていても再発してしまう可能性はあります。
これはがんの種類とがんのstageによります。
stage
癌のstageは腫瘍の大きさ(T:tumor),リンパ節転移(N:node),遠隔転移(M:metastasis)で評価されています。
癌によって定義づけられています。術前のCTなどである程度予測して治療方針を決めています。
最終的に決定されるのは手術をして病理医が顕微鏡で見て決定されます。
以下は大腸がんのstageごとの5年生存率です。
5年生存率
診断から5年後にどれだけの割合で生存しているかを示す指標
stage I | stageII | stageIII | stageIV |
82.2% | 75.1% | 68.6% | 14.6% |
国立がんセンター 院内がん登録 2014-2015年5年生存率集計より抜粋
stageがあがればあがるだけ5年生存率が低い、つまり予後が悪いということです。
大腸がんはこれでも比較的まだよい方で、すい臓がんなどになるとさらに低いのです。
つまりいかなるがんであろうと手術した時点で根治、というわけではなく
再発の危険性があるということになります。
再発してしまって憤りがあるのはわかります。
そのため手術を行って終わりではなく再発していないかを外来で見ていくのです。
解決策
ご家族としては突然言われてしまって受け止めきれなかったという状況のため
このような事態が起こってしまったのかと考えます。
他人の家族にとやかくは言いたくはないのですが
- 普段から家族に来てもらう。
- 患者さんに外来のたびに家族に結果についてお伝えしてもらう。
普段から家族に来てもらう
可能であればこれがベストです。
外来でいろいろ話しますので、ご本人のみですとあまりのショックに聞こえない・忘れてしまうなんてことはありうるかと思います。
高齢者の方であれば若い方が来ていただければ幸いです。
患者さんに外来のたびに家族に結果についてお伝えしてもらう
ご本人から難しいようであればせめてご家族は外来のたびにどうだったかの会話はしてください。
大丈夫だったー、でもよいかと思います。
まとめ
今回のことはご家族とのコミュニケーションが少なくて起こってしまったことですね。
慢性的な疾患ではまだしも、
進行していく可能性のある病気のときは時々ご家族に一緒に来ていただけると助かります。
もっと普段からご家族に興味お持ちくださいませ。
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