参議院選挙終わりましたね。
先日投票してきました。誰に投票したとは言いません。
医師という立場からは私はどうしても「医療政策」に注目してしまいます。
中でも気になるのが、「医療費削減」というワードが軽々しく使われていることです。
医療費は「ムダ」なのか?
確かに医療費は年々増えています。
高齢化が進み、慢性疾患や終末期医療が重くのしかかっているのは事実です。
だからといって、「医療費は削減すべきコスト」としてだけ語られるのは危険です。
たとえば、
・十分な医療人材が確保できない
・検査や治療に制限がかかる
・在宅や地域医療のインフラが不十分になる
こうした「削られる現場」のしわ寄せは、結局患者さんにいきます。
そして医療者のモチベーションや倫理感にも影響していきます。
医療費削減して給料UP。給料UPしたらうれしいです。
断らない救急医療。どこでもいつでも病院に受診できる、いいですね。
響きはかっこいいです。眼前の利益を取ってそれをを実現するためにどれだけの犠牲があるのか。
「医師の給料が高い」は本当か?
医療費削減のために医師の給料を減らそうともありました。
確かに、統計的に見ると医師の年収は他の職業より高いです。
ただしそれは、「命を預かる責任」「長時間労働」「極度の緊張感」「訴訟リスク」など、他職種ではなかなか想像できない要素を含んでいます。
たとえば:
- 夜中の緊急対応(当直・オンコール)
- 訴訟リスクと常に隣り合わせ
- 初期研修〜専門医取得まで10年以上の修行期間
- ミスが「人の命」に直結するプレッシャー
それらを踏まえたうえでの報酬です。
これだけ医療費を費やしていても赤字経営をしている大病院は数多いのです。
それでも「やりがい」で続けている人たち
それでも医師たちは「ありがとう」「助かりました」の一言で救われながら働いています。
モチベーションの源泉は、けっして「高収入」だけではありません。
むしろ、自己犠牲や献身で支えている側面も多い。
だからこそ、「給料が高いんだから我慢しろ」という論調は、現場の医師を疲弊させるのです。
「医療を支える政策」が問われている
選挙の争点として、医療や介護が大きく取り上げられることは少ないのが現実です。
でも、私たちの生活と命に直結する分野です。
「いざというとき」のために、誰もがアクセスできる医療を守る必要があります。
今回の選挙結果を受けて、ぜひ国には医療現場の声を反映した、真に持続可能な政策を考えてほしい。
医療費の話は、単なる「削減」の一言で片づけてはならないと思います。
まとめ
医療費削減を議論する上で、医師の報酬を標的にするのは簡単です。
しかし、それは「現場の持続性」を奪いかねません。
私たちが本当に守るべきなのは、安心して医療が受けられる社会インフラとしての医療。
そして、その基盤となる医師や看護師の「働きがい」や「誇り」も忘れてはならないと思うのです。
それではお大事にどうぞ。



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