これはクリニックの外来でのおはなし。
高血圧でかかりつけの患者様。
Youtubeでみた
症例

こんにちわ。血圧はいかがですか。

最近ちょっと高めですね。

確かにそうですね。もう少しお薬を増やしましょう。

血圧低くてもよくないと聞いたのですがどうなんですか。

そんなことはないですよ。誰から聞いたのですか。

Youtubeでみました。
自分の病気の情報を仕入れている。それは素晴らしいことでもあります。
でも時に、その情報が患者さん自身を迷わせる原因にもなります。
「薬に頼らない方が自然でいいって聞きました」
「●●は副作用が強いってコメント欄で見ました」
たしかにネット上にはそういう意見も溢れています。
ですが、情報の出どころや根拠はどうでしょうか。
誰が言っているのか?
専門的な根拠があるのか?
あなたの体にそのまま当てはまるのか?
それを確かめるのは、なかなか難しいものです。
特に「高血圧」のような、目立った症状が出にくい病気は要注意です。
放置すれば、知らない間に脳卒中や心筋梗塞につながることもあります。
「今は大丈夫そうだから」が、いちばん危険なのです。
インターネットの情報を否定するつもりはありません。
むしろ、患者さんが自分の健康に関心を持つきっかけになるなら、大歓迎です。
ただしYoutubeなどの動画コンテンツは注意が必要です。
再生数を稼ぐために少し誇張した表現を使われていたり、
極端な意見だけを取り上げていたりすることも少なくありません。
そして耳障りの良いご自身に都合のよい情報のみをとりいれがちになります。
もちろん、どちらが正しい、間違っている、という議論をここでしたいわけではありません。
10年後に実際にどの考え方が正しかったのかなんて、正直、私たちにもわかりません。
大切なのは「その選択の結果、ご自身が幸せでいられるかどうか」です。
そして、もしその選択に何か問題が起きたとき、「あの人がこう言ったから」と誰かのせいにしない覚悟があるかどうかだと思います。
私たち医師の多くは、現時点で最も信頼できる医学的根拠に基づいた
「ガイドライン」をもとに治療を行っています。
これは日本だけでなく、世界中の専門家たちが膨大な研究と経験からまとめあげた、
医療の土台ともいえるものです。
ですから、私たちは「今のあなたにとって、安全で効果が見込める選択肢」を提示しています。
ご自身で情報を集めるのも大事ですが、迷ったら遠慮なくご相談ください。
情報の海の中で、少しでも確かな道しるべになれればと思っています。



解決策
- 気になったらまず聞いてみる。
- 都合のいい話だけを信じすぎない
- 自分にあう医師を見つけよう。
気になったらまず聞いてみる
ネットで見た情報、気になることがあったら、遠慮せずに医師に聞いてください。
「YouTubeでこう言ってたけど本当?」「これは自分にも当てはまる?」と聞いてくれたら、
一緒に整理して考えられます。
都合のいい話だけを信じすぎない
「薬は全部やめたほうがいい」
「〇〇を飲めばすべて解決する」
――こうした話は信じたくなるものですが、少し立ち止まって考えましょう。
耳ざわりの良い情報ほど、リスクが見えにくいことがあります。
盲目的に一方だけを信じるのはやめましょう。
自分に合う医師を見つめましょう
話しやすい、質問しやすい、納得できる説明をしてくれる――。
医師も人間ですから、相性はあります。
不安が残るようであれば、思い切って他の先生の意見を聞いてみるのもひとつの手です。
あなたの健康を一緒に守ってくれる“パートナー”を見つけてください。
まとめ
YouTubeやインターネットの医療情報を参考にすること自体は悪いことではありません。
ただし、それが正確で、自分にとって安全かどうかは、慎重に見極める必要があります。
健康は「誰かの正解」ではなく、自分の納得の中にあります。
そのために、信頼できる医療パートナーと歩んでいきましょう。
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