やってないです

患者さん
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これはクリニック外来のおはなし。

高血圧でかかりつけの患者さんのこと。

やってないです

症例

わさび饅頭
わさび饅頭

こんにちわ。血圧はどうですか。

変わらないね。

わさび饅頭
わさび饅頭

具体的にはいくつですか。

家ではやってないです

外来ではよくある光景です。

病院でももちろん血圧は測定行いますが出先でもあり通常よりは高い状態にあります。

また血圧は一日である程度は上下するものなのでそのときの1回を見てもなかなか調整が難しいのです。

季節、加齢により血圧は徐々に変化していきます。

医療って、病院に来て薬をもらえば終わり……ではありません。

本当の意味で「治療」になるには、患者さん自身の参加が欠かせません。

私たち医師や医療者は、病気の診断をして、薬を出して、生活上の注意点をお伝えします。

でも、それだけでは治療は半分しか成立しません。

その先――

たとえば、薬をきちんと飲むかどうか。家で体調を確認するかどうか。

言われたことを覚えていて、少しでも意識しようとするかどうか。

そういったことは、私たちにはできません。

たまに、「私は先生の言うことをちゃんと聞いてますよ」と言ってくださる方がいます。

本当にありがたいです。ただ、それは「聞くだけ」ではなく、行動に移すことが重要です。

もちろん、「痩せましょう」「運動しましょう」「塩分を控えましょう」といった生活習慣の改善は、

すぐにできるものではありません。

時間も根気も必要ですし、正直、無理のあるアドバイスになってしまうこともあります。

すぐに結果が伴うものでもありません。

だからこそ、私は「完璧にやってください」とは言いません。

「できる範囲で、ほんの少しでもいいから意識してほしい」と思っています。

たとえば、薬を飲み忘れないようにする。

たとえば、体調がいいときでも家で血圧を測ってみる。

そんなふうに、自分の体を「他人任せにしない」こと。それが、自分の健康を守るための第一歩です。

医師がどんなに真剣でも、薬がどんなに優秀でも、

ご本人がまったく関わらないまま治る病気は、ほとんどありません。

逆にいえば、ちょっとした行動の積み重ねが、病気の進行を止めたり、

予後をよくしたりする大きな力になるのです。

医療は、私たち医師と、患者さん自身の共同作業です。

治療の「主役」は、あなた自身――どうかそのことを忘れずにいてください。

解決策

  • 薬を飲む時間を決めて毎日守る
  • 医師に言われたことを記録する
  • 自分の病気について最低限の知識を持つ
  • できないと思う前にどうすればできるかを考えてみる
薬を飲む時間を決めて毎日守る

薬は「飲み続ける」ことで効果を発揮します。

でも、つい飲み忘れてしまったり、思い出したときに飲むようなバラバラのタイミングだと、効果が安定しません。

自分の生活の中に組み込んでルールとするのがコツです。

毎日の“習慣”にしてしまえば、自然と忘れにくくなります。

医師に言われたことを記録する

診察のとき、「あれも言われた気がするけど、なんだったかな?」ということ、ありませんか?

私たち医師も、たくさんの情報を一度にお伝えしてしまうことがあります。

聞いたことをその場でメモする、スマホに打ち込む、診察後すぐにメモ帳にまとめるなど、記録を残しておくと安心です。


薬の内容や生活指導など、あとで見返せるようにしておくと、治療がスムーズになります。

自分の病気について最低限の知識を持つ

実はちょっとした知識があるだけで、治療への理解や納得感がぐんと深まります。

たとえば「自分が何の薬を飲んでいるのか」

「放っておくとどうなるのか」「薬以外の治療はなにがあうのか」。

こうしたポイントを知っておくだけで、自分の健康を守る意識が高まります。

できないと思う前に、どうすればできるかを考えてみる

「運動しろと言われても無理」「減塩とか、何を食べればいいのかわからない」――

でも、「できない」で終わるのではなく、「じゃあ、自分にできる範囲で何ができるか?」と考えてみてください。

運動が難しければ、まずは1日5分だけストレッチを。

減塩が難しければ、薄味の味噌汁に。

仕事、忙しいを理由にしないでください。

完璧じゃなくていい、でもゼロじゃない。その気持ちが、病気と向き合う第一歩になります。

まとめ

私たち医療者は、あなたが何を選んでも、正直なところ困ることはありません。

薬を飲まなくても、血圧を測らなくても、怒ったりはしません。私たちはお母さんではないのです。

でも――

それでも私は、あなたの体のことを考えています。

そういう立場でいたいと思っています。

自分の体を本気で心配する人は、まずはあなた自身。家族、そしてその次に、私たち医療者がいます。

私たちは、あなたの人生の主役にはなれません。

でも、その舞台を支える脇役として、これからもずっと、そばにいます。

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