これはクリニック外来のおはなし。
血圧が上がってきたので薬の提案をしたときのこと。
昔は違ったでしょ
症例

血圧が高めなので薬を使いましょう

前からこんなもんだけどねぇ

ずっと高いと問題が起こることがあります

分かりました。でも昔は違ったでしょ。
160って言われてなかった?
自分が聞いていた基準と違う、ということですね。
自分の知識を否定されると悲しい気持ちになりますよね。
でも、変更になっています。昔から病気の基準や治療は更新されております。
医療は日々進歩しております
どこの業種でも知識や行っていることは変わっていってますよね。
それは医療でも同じです。
50年前の道具をひたすら使い続けるなんてことはないですし、
同じ知識でやれるなんてことはないですよね。
例えば昔は運動中に疲れやすくなるから水分を取らないようにと言っていました。
今考えれば当然間違いなのは分かります。
数々の研究、統計をとった結果によって常識が書き換わってきています。
いま当然と思っている治療も50年後くらいには非常識になっているかもしれないです。
私は消化器外科として仕事をしていましたが抗がん剤などは更新が特に早いです。
初登場したのは1950年からでいまでは数多くの抗がん剤ができております。
どういった組み合わせが有効かどの順番で使用するかが製薬会社、各病院で研究されています。
クリニック勤務となってからはまだ時間はたっておりませんがそれだけでもうついていけないレベルです。
私はこれからは抗がん剤をやることは基本的はないので知識を更新することはありません。
その代わりに他の病気の診断、治療を更新しております。
ネット情報を見ていると時々こういった変更は
「医師、製薬会社の陰謀だ。金稼ぎをするためだ」
なんてことが結構見かけます。驚愕しております。
そんなこと全く考えていません。
薬を始めるって嫌ですよね。病気と認めるみたいで。
いまの状態でも大丈夫だよーって言ってもらったほうが安心ですし、心地がいいです。
それは分かります。
生活習慣病などはきちんと運動して、食事を気を付ければ治ります。これは事実です。
でもそれができますか?

仕事があるし、家事をしなくちゃいけないし、子育てしなといけないし、
介護をしないといけないし、外は暑いし。
理由はいくらでも作れます。そして結果が体にでるには時間がかかります。
そこまで続けられますか?恐らく難しいでしょう。
薬を使用しつつ、改善傾向であれば薬を減量、中止もすることができます。
とりあえず薬を開始してもいいのではないでしょうか。
解決策
- 昔と違うのは当たり前と考える
- 疑問を口に出してみる
- 信頼できる情報源をもつ
昔と違うのは当たり前と考える
情報は更新されます。逆に昔と同じであると怪しくないでしょうか。
昔の常識が変わることは自然なことです。「医学が進歩しているんだな」と考えましょう。
疑問を口に出してみる
新しい情報に戸惑ったときは、主治医に「昔はこう聞いていたけど、なぜ変わったんですか?」
と質問してみてください。納得できる説明を聞くことで、不安や不信感が和らぎます。
自分で書きつつちゃんと勉強しなくてはとドキドキしてきてしまった。。。
信頼できる情報源をもつ
ネットやSNSには正しい情報も間違った情報もあふれています。
厚生労働省、学会、病院など公的な発信源をチェックすると
「正しい知識」と「でまかせ」を見分けやすくなります。

まとめ
私としては我々が提示している情報を信じるかそうでないかは
どちらでも個人的にどちらでもいいのです。でもできるだけ将来健康的に幸せになってほしい。
そう思いながら医療者は日々勉強して働いております。
変化を恐れないでください。進化の反対は停滞です。
どんどん変化してよりよい将来を勝ち取りましょう。
それではお大事にどうぞ。
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