これはクリニック外来のおはなし。
咳がでているから見て欲しいときた方のこと。
薬多めにください
症例

レントゲンも綺麗ですので大丈夫そうですね

ありがとうございます

まずは咳止めで様子をみましょう

できるだけ薬多めにください
仕事で来られないので。
かかりつけの方で次の予定日に出張など予定がある方で状態が安定している人などは融通します。
しかし今回は新患さんになり初診になります。
オススメしません。
邪推するつもりはありませんが余ったら次に体調が悪かったら使おうと考えたりしているのが見えてしまいます。
そのほか
- いつも症状が長引くから
- 仕事で来れないから
- 通院の負担を減らしたい
といったことがあります。
いつも症状が長引くから
病気の経過が毎回同じ、とは限りません。
同じ熱がでても1日で治れば1週間かかることもあります。
数日でみて改善なければ次の治療を考えましょう。
仕事で来れないから
症状次第ですが仕事と治療の両立は難しいです。
ある程度元気であれば仕事をするな、とは言いません。生活もありますからね。
でも病院の診察くらい休んでも許されるんじゃないでしょうか。
上司に確認してください。病院行くな、なんて人はいないかと思います。
許していないのは自分ではないでしょうか。
通院の負担を減らしたい
通院のたびに診察料や交通費がかかってしまう。疲れる。
その数百円のためにお金に換えられない健康を害す危険性がありますがよろしいですか。
私に限らず多くの開業医の診療のフローチャートはこんな感じです。

外来で診断が100%正しいということはありません。
以下の記事になぜ診断を正しく行えないのかを記載しておりますのでご参照ください。
次の診察のタイミングが遅くなると結果として改善が遅くなる、致命的になる可能性があります。
そのため長めに薬を処方するという行為はおすすめしないのです。
医療者としても経過が気になるから
薬出したけど大丈夫かな?悪くなっていないかな?入院してないかな?
他の病院にかかったのかな?
などなど心配しております。

解決策
- 経過観察を軽視しない
- 仕事や生活とのバランスを話し合う
- 不安や希望を率直に伝える
経過観察を軽視しない
「様子を見ましょう」と言われるとなんとなく適当に扱われているように感じませんか。
同じように見える咳や熱でも、病気の種類や重さは違うことがあります。
数日で改善しなければ、次の治療方針を考える必要があります。
これは「様子を見て」時間がたたないと分からないことなのです。
多めの薬よりも、きちんと経過をみることが大切です。
仕事や生活とのバランスを話し合う
「忙しいから受診できない」と考える方は多いですが、
病気を放置すると結局仕事に支障をきたし長期的に仕事ができなくなることもあります。
また感染症などでは周囲にも迷惑をかけることがあります。
診察を受けることは、自分の体と生活を守るための投資です。
職場に一言相談してみてください。
不安や希望を率直に伝える
「症状が長引くのが心配」「薬が切れるのが怖い」といった気持ちを、
遠慮せず医師に伝えてください。
実際に予定を教えていただければ空いている日までの処方はします。
理由を理解したうえで、症状や状況に応じた最適な処方を一緒に考えていけます。

まとめ
薬を多めに出してほしいというお気持ちは、忙しさや不安から自然に出てくるものです。
ただし、症状の経過をきちんと確認することが最終的に安心して生活するためには欠かせません。
私たち医療者も、できる限り患者さんの生活に合わせながら治療を進めたいと考えています。
「どうして多めに出せないのか」「どうすれば不安が減るのか」を
一緒に話し合いながら、最適な形で治療を続けていければと思います。
それではお大事にどうぞ。
最近こちらの本で勉強を始めました。
より見やすく良いブログになるように頑張ります。
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