「あの病院で治療したいので紹介してください」本当にその病院でいい? がん手術と長期フォローを考えた病院選びのポイント

患者さん
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こんにちわ。わさび大福です。

好きな旅行先は北海道です。ジンギスカンも海鮮もおいしい。

これは大学病院時代時代。

外来をしていた時のお話。

これから治療を行うという方。

治療成績がよいからと遠くの病院を希望している方。

この記事を読んで本当にその病院でいいのかを検討してください。

遠くの親戚より近くの他人です。

「あの病院で治療したいので紹介してください」

症例

わさび大福
わさび大福

検査の結果、がんです。治療をしないと命にかかわります。

そうですか。。。分かりました。

わさび大福
わさび大福

治療は手術をまず行います。

手術であればここではなく、

あの病院で治療したいので紹介してください。

調べたら名医がいらっしゃるようなので。

当院は患者さんの自宅から一番近い病院です。

患者さんが調べた結果、2県隣の病院にいる先生がこの病気の名医として紹介されており

そちらでの治療を希望されているようです。

お薦めできません

とお伝えすると

先生が手術したいだけだろ

とか

病院の売り上げになるもんなー

とか言われることがあります。その気持ちがなくもないですが。。。

お薦めできない理由としては

  • 手術だけで終わりではない
  • 体調が悪くなったら
  • 大きく違いはない

といったところが上がります。

以下で説明していきます。

手術だけで終わりではない

初診から治療が終わるまでは長いです。

以下は私がよく見ていた大腸がんの例になります。

外来回数
  • 最初
    術前検査

    外来1-2回

  • 1か月後
    手術前説明

    外来1回

  • 入院ー手術

  • 2か月後
    術後結果説明

    外来1回

  • 再発していないかのチェック

    3か月に外来1回

  • 5年後
    終了

これは「最短」になります。

最短であっても計20回以上の外来が必要になります。

片道1時間であった場合は約40時間以上が移動時間になります。

これはあくまでも最小回数になります。

術後がんのstageによっては補助化学療法が入り、再発した場合には化学療法が入ります。

体調が悪くなったら

経過の中で体調が悪くなることも多くあります。

手術による遅く出てくるの合併症や抗がん剤の副作用など予定外の受診あります。

風邪をひくなどは別ですががんに関連するであろうと考える体調不良の時は

手術をした病院に受診することになります

その調子が悪い時に時間をかけて移動というのは辛いのではないでしょうか。

じゃあその体調が悪い時だけ近くの病院に受診すればいいじゃない、とお思いかもしれませんが

どういった手術をして抗がん剤が何を使っている、普段は採血や画像所見がどうかなどが

把握できていないと治療はやりにくいのです。

心情的に他院のケツ拭いている印象があって正直あまり見たくはないのです。

外科医にとって手術が治療の中で一番のところがあってその後の治療やトラブルは他の病院へは

ポッキーのチョコだけ食べてあとは渡される

そんな感じなのです。

大きく違いはない

そもそもの「名医」という定義が曖昧ですが

恐らくは手術に起因するものかと思います。

もちろん手術が上手いに越したことはありません。

ほとんど経験がないなどは論外ですがある一定以上であれば

治療成績はそこまで変わりはないかと思います。

以下に各病院の治療成績があります。

院内がん登録生存率集計:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

確かに治療成績に差はあります。ただしこれは病院によって条件が異なってきます。

この治療成績をあげるために条件の悪い人の手術を断るなんて病院もあるかと思います。

その断られた人の治療を行って、結果治療成績が悪くなることもあります。

一概に治療成績が良くても、手術が上手いというわけではないです。

手術よりもその後の治療が重要になってきます。

  • 適切なフォロー(検査、頻度)
  • 適切な化学療法

これを評価することは難しいかと思います。

例外

ただし例外もございます。

それは難病や希少な病気の場合です。

日本で数少ない病院でしか治療を行っていない病気の場合は遠方であろうとそちらを受診するのが良いです。

この場合は通常主治医から紹介させていただきます。

対策

  • 通いやすさを考慮する
  • 治療全体の流れを確認する
  • 体調が悪くなったときの受診先を確認
  • 信頼できる情報を使う
通いやすさを考慮する

治療は手術で終わらず、長期的なフォローが必要です。

移動時間や通院のしやすさも含めて検討しましょう。

治療全体の流れを確認する

手術後はどのくらいの期間、頻度での受診が必要になるのか

補助化学療法の可能性はあるのかをきいて通院負担をイメージしてください

体調悪くなった時の受診先を確認

術後合併症や副作用で急に体調が崩れることもあります。

普段のかかりつけ病院や近隣の病院と連携できるかどうか確認しましょう。

頻回に調子を崩す、その可能性があるようであれば

現在の状態をかいた紹介状(診療情報提供書)をもらってください。

信頼できる情報を使う

インターネットや口コミには偏りがあります。

これは宣伝の力が強いだけです。

上記の公開データや主治医の説明など、公的な情報をもとに判断しましょう。

まとめ

がんの治療は手術という大きなイベントだけで終わるものではありません。

むしろその後の経過観察や再発予防のための治療、そして体調を崩したときの対応など、長く続くフォローアップこそが大切です。

遠方の名医に憧れる気持ちは誰しもあると思いますが、実際に必要になるのは「通いやすさ」と「いつでも頼れる安心感」です。

名医や有名病院であっても、すべての人にとって最適とは限りません。

あなたの生活のリズムや体調、家族のサポート体制に合った病院を選ぶことが、結果的に一番良い治療につながります。

迷ったときには主治医や専門機関で相談し、納得したうえで治療を始めることが何よりも大切です。

どうか「遠くの名医」だけでなく、「身近で寄り添ってくれる医療」を選ぶ視点も忘れないでください。

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