こんにちわ。わさび大福です。好きな飲み物は日本茶です。
今回の話は大学時代の救急外来。
熱があって来院された方のこと。
入院させてください
症例

検査をしましたが大きな問題はなさそうです。

よかったです。

お薬を出しておきますので自宅でゆっくりしてください。
何かあれば連絡してください

でも夜遅くなので入院させてください
時刻はAM3:00。そこから自宅に帰るころには日も登ってしまいますものね。
入院はできません。
帰る足がありません、一泊だけでもと迫られることありますが
患者さんの都合のみでの入院は基本的には入院はできません。
救急車できたのに?と言われることがありますが救急車でくれば入院できるわけでもないです。
病院はホテルではありません。
入院の必要性に関しては前記事でも記載しておりますのでよろしければご参照ください。
肺炎の入院適応についてはA-DROPscoreというものがあります。
A-DROPscore
Age(年齢) 男性≧70歳、女性≧75歳
DeHydration(脱水) BUN≧21mg/dl または脱水
Respiration(呼吸) SpO2≦90% (PaO2≦60torr)
Orientation(意識) 意識変容あり
Pressure(血圧) 収縮期血圧≦90mmHg
各種1点として
0点:軽傷(外来治療) 1~2点:中等傷(外来or入院) 3点:重症(入院治療) 4~5点:超重症(ICU)
しかし、すべての疾患でこのようなscoreがあるわけではありません。
最終的には医師の判断に任されます。以下のことを考えて入院を検討しています。
入院しないとできない治療がある
手術やカテーテル治療などの緊急性のある治療が必要である。
点滴や酸素投与など継続した治療が必要である。
内服薬のみでは治療できないと考えたときに入院を考えます。
自宅では生命の危険性がある
今は大丈夫だけど今後悪化の可能性がある、高い場合です。
診断はまだ未確定ではあるが採血などデータが悪く様子を見る必要がある。
悪化した際には上記の治療が必要になりいち早く治療した方が予後がよい。
自宅でも良いが患者さんの判断が難しいことがある、などです。
家庭環境に問題がある
ご高齢、一人暮らし、病院から遠方、認知症などなど。
逆に入院すると認知症が悪化することもありますので入院はしない方がいい場合もあります。
今回の症例で検討するとここにあたります。自宅にたどり着けなさそうと判断のときはやむを得ず1泊することはあります。
病床に空きがない
そもそもに入院のベッドに空きがないと入院はできません。
ただ通常は入院が必要であればそのまま帰宅させることはないかと思います。
近隣の病院に連絡し入院できるかどうかの確認し、紹介状をお渡しします。
解決策
医師からの説明をしっかり聞く
入院の希望を聞いてくれなかった!と憤慨するばかりではなく、
なぜ入院できないかを冷静に聞いてください。
不明な点は遠慮せず質問しましょう。
帰宅後の注意を聞く
帰宅後どういったことが起こる可能性があるのか
どういったときに再受診をするべきなのか
どこに連絡をすればよいのか
を確認しておきましょう。そのほか心配なことがあれば何でも質問しましょう。
無理せず休養を取る
入院を希望する程度であればまずはしっかり休養をとりましょう。
入院の必要性がないだけで仕事、家事をやるべきだというわけではないです。
まとめ
希望することを断れるとどうしてもネガティブな気持ちになります。
しかし入院部屋、人員、医療費と医療資源は限られております。
医療者としてもどんどん入院させる、というわけにもいかないのです。
自宅での療養が安全と判断されたのなら、それは「今のあなたの体がしっかり持ちこたえられる」というサインです。
安心して休養をとり、万が一のときには迷わずまた受診してください。
それではお大事にどうぞ。
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